平岸駅から少し外れた平岸街道沿いにある「atom bar (アトムバー)」オーナーの井原さんに、経歴や店名の由来、お客さんの層、一人飲みについて聞いてきました。
飲食を始めたきっかけ
── 簡単な経歴を教えてください
札幌市の清田区の出身で、高校卒業後に調理の専門学校に行きました。
卒業後は和食を中心に、旅館や東京のホテルで働いていたんですが、あるバーに初めて行ったのをきっかけにバーで働くようになりました。
── バーの原点ですね、どのようなバーだったんですか?
世田谷区の千歳烏山にあるバーで、緊張しながら初めて行ったんですが、お酒の種類があまりわからなかったんですよね。
メニューの中で唯一「ダイキリ」だけ聞いたことがあったので、「ダイキリください!」って頼んだのが最初の注文です(笑)
そこのバーは、モルトウイスキーの種類が多くて、最初に飲んだのが「ザグレンリベット」で、ストレートだったのでゴホゴホって咽せちゃいました(笑)
そこから僕のバーがスタートした感じで、今でもモルトウイスキーが好きです。
通っている内にバーテンダーの方から「こんな飲み方あるよ」とか「こうゆうお酒もあるよ」って教えてもらいました。
atom bar (アトムバー)を始めたきっかけ
── 札幌へはいつ戻ってきたんですか?
2011年に戻ってきて、居酒屋などの飲食店で働いて、その時にGerman Bar SHOのSHO君やくろねワインハウスの 中嶋と出会いました。
それから数年後に、atom bar(アトムバー)を始めるんですが、最初は大衆居酒屋をやろうと思っていたんですよね。
── バーをやろうと思ったきっかけは何ですか?
今の物件は、元々居酒屋だったんですが、内覧したときに「バーをやろう」と思ったんですよね。
両サイドに居酒屋があって、定食屋さんやラーメン屋さんも並びにあって、ここにバーがあったらおもしろんいんじゃないかなと思って。
ただ、バーと名乗ってはいるんですが、オーセンティックなバーという感じではなくて、僕の感覚では飲み屋って感じです。
飲み屋だけどモルトウイスキーがあったり、僕は探してきたお酒があるコミュニティですね。
── 店名の由来を教えてください
下條アトムっていう俳優に似てるって、中学生ぐらいから言われてて、バーで働いている時も「アトム君」って呼ばれていたので、そこから店名をとっています。
お客さんが描いた絵を飾っている
── 外装のイメージを教えてください
赤茶をベースカラーにしています。
フランスやイタリアなど海外のバルのようなイメージで、街の彩りや暖かみになれば良いかなって思っています。
── 内装のイメージを教えてください
内装は元々の居抜きに色を塗って、親父や友達とカウンターを作りました。
吊棚は簡単に考えていて、壁にちょっと付ければ良いかなと思ってたんですが、飲み友達が作ってくれて、横でお手伝いしていたら出来ていたって感じです(笑)
── 飾ってあるイラストは井原さんが書いてるんですか?
お客さんが書いてくれています。
よく「マスターが描いてるんですか?」って聞かれるんですが、僕は全然絵心がないんで描けないですね(笑)
ジェームスブラウンが好きな方がいるので、ソウル系の絵が増えています。
そのお客さんは、平岸ゴールデン街のレコードバーによく行っていて、同じ絵が飾ってあります。
音楽もすごい好きで詳しい方なので、バーだったらこんな音楽流したらカッコ良いんじゃないって提案してくれています。
お袋のロールキャベツがオススメ
── 提供する料理に対するこだわりを教えてください
一人でやっているので、そこまで凝った料理は提供していなくて、頼みやすいような居酒屋メニューで良いと思ってるんですよね。
── しっかりした食事もありますよね
ちょっとお腹空いてたら、パスタとかピザとかを食べられるようにしています。
── オススメのメニューを教えてください
ロールキャベツがオススメです。
お袋に作ってもらっているんですが、「お袋の味」ですごい人気ですね。僕は作ってないんですが(笑)
── 提供するドリンクに対するこだわりはありますか?
当たり前に美味しいものを出したいと思っていて、毎日、氷屋さんから氷を仕入れて、お酒の分量にもこだわってやっています。
── 好きなお酒はなんですか?
ビールとウイスキーはないと困るなって思っています。
居酒屋だったらビールからスタートして、日本酒、焼酎、ワインとかを飲みますね。バーに行ったらウイスキーを飲みます。好きなので。
独身の男女が多くて深夜12時が混み合う
── お客さんの層を教えてください
20歳ぐらいから80歳のおじいちゃんまでいます。
30代の中盤ぐらいの方が最も多くて、95パーセントぐらいは平岸周辺に住んでいる方です。
男性と女性の割合は半々ぐらいで、男女ともに独身が多いですね。
── 女性の割合が多いですね
かっこいいバーテンダー目当てで女性が多いお店もありますが、atom bar(アトムバー)は、女性が一人で飲んでいても安心感があるのかなと思います。
変な人はいないし、僕自身も危ない感じがしないんだと思います(笑)
── お客さん同士のコミュニケーションはありますか?
L字のカウンターなので、お客さん同士が盛り上がりますね。
このお店で出会った人達がプライベートで遊び行くグループや、カップルも何組が出来ています。
── どの時間帯が混みますか?
深夜12時前後ぐらいが一番混みますね。
2時ぐらいから来る人も結構多くて、4時に満席になることも多々あります。平岸で飲んでた人や、終電やタクシーで帰ってきて飲み足りなくて来る方が中心です
お店は、3時にお客さんが誰もいなかったら閉めています。
さらっとして落ち着く雰囲気
── 店舗を運営するにあたり、大切にしている部分はなんですか?
心身ともにベストで健全な状態でカウンターに立っていたいなとは思ってます。
── 接客で意識していることはありますか?
悩みがあったり、落ち込んで来るお客さんもいるので、どっちかというと話を聞く役になることが多いです。
逆に僕がお客さんに話を聞いてもらうこともありますけど(笑)僕のドジ話をネタにして笑ってもらえれば良いかなと思っています。
あとは、お客さんがお店に入ってきた時に、どういう顔してるかなって観ています。
その日の調子によって、「今日はどういう風に接したらいいかな」とか「何を求めてるかな」って考えてますね。
── お店の強みはなんですか?
隙間に存在してるようなお店だと思います。僕自身もそういうタイプですし。
給料日前が結構混んだりするんですよね、「お金ないからatom bar(アトムバー)行こうかな」みたいな。
チャージは無くて、ビールが500円。料理を頼んで2~3杯飲んでも2,000円前後ぐらいの価格帯なので、お手軽感はあると思います
逆に給料日がすごい暇ですね。お金が入ったら良いとこ行こうかみたいな感じだと思います(笑)
── なぜ、お客さんはこのお店を選ぶと思いますか?
いい感じの隙間に存在していて、さらっとした感じなので「落ち着く」って言ってもらえることが多いです。
「イェー!仲良くやろうぜ!」ってお客さんはあまりいなくて、さらっと飲みに来て、さらっと帰るお客さんが多いです。
ちょっと寂しがりやで、ちょっと話せる人いないから来たみたいな。シャイなお客さんが多いですね。
僕もそんな感じだから、そういう人が集まるのかなと思ってます。
8~9割ぐらいは一人飲みのお客さん
── 一人飲みの割合を教えてください
8~9割ぐらいは一人飲みの方ですね
── 一人飲みのお客さんに対してどのように利用して欲しいですか?
お客さん次第なので、どんなスタンスでも良いと思っています。
一杯飲みに来たっていうのでも良いですし、時間を潰したいとか、他のお客さんに会いたいとか、僕に話を聞いて欲しいなど、それぞれにちょっとした時間を過ごして欲しいなと思ってます。
できれば、次の日に前向きに生きていけるような気持ちになる場所だったら良いなと思っています。
── 一人飲みのお客さんに何を提供できると思いますか?
仕事が終わって明日仕事が始まるまでの時間や休日の時間など、時間は貴重なので、それぞれのちょっとした時間を過ごして欲しいですね。
みんな楽しそうなのが嬉しくて楽しい
── 今までも最も辛かったことはなんですか?
お客さんが転勤や引っ越ししちゃったりとか、別れがちょっと寂しいですが、基本的には楽しくやらせていただいてますね。新しい出会いもありますし。
── 今までも嬉しいことはなんですか?
カウンターやボックス席でみんな楽しそうにしていて、僕は眺めていて、お酒を頼まれた時だけ作るっていうような状態ですね。
みんな楽しそうだなと思って嬉しくて、そんな時が一番楽しいですね。
── 開店から今までを振り返ってみて、どのように感じますか?
お客さんに大事にしてもらってるなってすごい感じます。ちゃんとした人ばかりです。
── 今後の目標やチャレンジしたいこと、または展望を教えてください。
スタッフが増えたら楽しいだろうなと思ってます。凝った料理も色々できるし、お客さんも楽しいだろうし、人との繋がりができるのが良いですね。
あとは、お昼にスペースを貸したりとか、何かつながりの場所にしたいなと思ってます。
── お店を一言で表すなら、どのように表現しますか?
「隙間に存在しているちょっとした場所」とか「コミュニティー」なのかなと思ってます。
一人飲みで来ようとしてる方へのメッセージ
── 最後に一人で飲みに来ようとしている人へ向けて、一言メッセージをお願いします。
一人で来るのってすごい怖いと思うんですが、入ったらそんなに怖くなので気軽に入ってきてほしいですね。
ちょっとドアを開けてみてくれると、面白いことあるかもしれないです。
昔の僕に問いかけてるような感じですね(笑)
atom bar (アトムバー)
住所 | 北海道札幌市豊平区平岸3条9丁目9-18 |
電話番号 | 011-833-3030 |
営業時間 | 18時〜3時 |
定休日 | 火曜日 |