鶏料理と焼酎の専門店「鶏・焼酎 るこっく」オーナーの大広さんに、鶏料理や焼酎への想いや大切にしていることについて、「夜こっく」をメインでやられいる行祥さんに一人飲みについて聞いてきました。
飲食業界に入った経緯
── 簡単な経歴を教えてください。
札幌市の出身で、大学の進学で横浜へ行き、そこから10年間、東京にいました。東京で飲食業界へ入って、30歳手前の結婚するタイミングで札幌に戻ってきて、現在に至ります。
── 飲食業界に入った経緯を教えてください。
大学卒業後は、サラリーマンをやっていて、飲食業界に入ったのは27歳の時なので、結構遅いんですよね。
当時住んでいた浦安に「BIGMAMA 」っていう行きつけのお店があって、狭いんですけど、1人でも通えるような居心地の良さがあって、週に何回も通っているうちに、飲食の魅力を知りました。
その後に、ストレスや睡眠不足で体調を崩していた時期が約1年間あって、これから何をやりたいかって考えた時に、飲食をやろうと思ったのがきっかけです。
当時は、食事にも気を使ってなくて、それも体調不良の一因になっていたと思うので、飲食に惹かれた部分もあります。

── 憧れや目標にしてきた人はいますか?
飲食の魅力を教えてくれた「BIGMAMA 」ですね。
あとは、麻布十番に勤めていた時に通っていた、スペインバルの方からも影響を受けていて、相談に乗ってもらったこともあります。
── 最初に飲食を始めたのはどういったお店ですか?
最初に勤めたお店は、浦安にある和食居酒屋です。鶏も魚も自分達で捌く方針のお店でドリンクのメインが焼酎でした。
自分の料理の基本はそこにあって、焼酎の魅力を知ったお店でもあります。
いちから料理の修行をさせてもらい、焼酎に関しても、毎週のように酒屋さんに通ったり、研修旅行で鹿児島や宮崎の蔵元へ行ったりして、勉強をさせていただきました。
サラリーマンを辞めて札幌に戻るまで、約2年間程度勤めさせていただき、札幌に戻ってからは、オガコーポレーションの九州料理と焼酎のお店「きくぼう」で勤めました。
── なぜ札幌に戻ってきたのですか?
東京で学生とサラリーマンをやってる中で、いつか札幌にも戻りたいなって思っていました。結婚のタイミングで子育ての環境面も考えて、帰って来ることを決断しました。
「鶏・焼酎 るこっく」の由来と店舗イメージ
── 店名の由来を教えてください
鶏料理がメインのお店なので、フランス語で雄鶏って意味の「るこっく」と名付けました。キャッチーでポップな感じにしたかったので、ひらがな表記にしています。
「るこっく」にコンセプトである鶏と焼酎につけて、「鶏・焼酎 るこっく」としています。
── お店の外観や内装のこだわりを教えてください
外観は、昔のおばちゃんの家みたいな入口が気に入って、前のお店の外観をそのまま使わせていただきました。

看板を掲げない予定だったんのですが、知り合いが自分をイメージしたものを作成してくれたので、使わせていただいています。

── お店っぽくない外観で隠れ家のようなイメージがありますよね
自分としては、隠れ家を狙ったわけでじゃなくて、目立ちたがり屋じゃない性格なので、看板を小さくしています(笑)お客様に隠れ家っぽいと喜んでいただけるのであれば、良かったなと思っています。
内装は、外観のギャップを出したかったので、モダンな雰囲気にしています。

── カウンターが印象的です
最初は低いカウンターにしようと思ったのですが、お客様と同じ目線になるような高さに設定しました。お客様と話しやすいですし、長いカウンターが活きてるなと感じています。
年に何回かオールスタンディングのイベントをやっていて、カウンターは良い感じに盛り上がりますね。
── どのようなイベントですか?
お店の周年や音楽イベントをやっています。
周年は、いつも来ていただけるお客様に感謝の気持ちを込めて、毎年行っています。

音楽イベントは、今まで3回開催していて、弾き語りを楽しみながら、3~4時間程度の飲み放題イベントです。
鶏料理と焼酎の組み合わせ
── 鶏料理と焼酎の組み合わせは珍しいですよね
札幌で鶏料理と焼酎の組み合わせの専門店は、自分が知ってる限りではないと思います。鶏とワインや、鶏と日本酒などの組み合わせが多いですね。
自分たちが好きな物を提供してるっていうのもあるんですけど、鶏料理と焼酎の組み合わせは美味しいって思っていて、一つの強みですね。
── 鶏と焼酎をコンセプトにした理由を教えてください
「 鶏」と「焼酎」のどちらかと言うと、焼酎が原点にあります。

お酒は元々好きで、色々な種類を飲んでいたのですが、最後に出会ったのが焼酎です。
浦安で勤めていたお店が、焼酎をメインとしていて、そこで焼酎の美味しさに目覚めました。それまでは、どちらかというと苦手だったんですが、飲み方や銘柄によって「こんなにも美味しいのか」って感動しました。
そこから、酒屋さんに通ったり、研修で鹿児島や宮崎の蔵元さんに行って勉強していくうちに、ますます魅力に取りつかれていきました。
今でもスタッフと一緒に、奄美大島に行って黒糖焼酎の倉を見学したり、酒屋さんや他の飲食店さんと合同で、鹿児島や宮崎の蔵元さんを呼んで焼酎フェスタをやったり、焼酎への想いが強くなる一方ですね(笑)

── 焼酎といえば、九州のイメージがあります
焼酎は九州のものが圧倒的に多いですね。
他の地域だと東京都の青ヶ島とかが有名で、札幌だと蕎麦焼酎やじゃがいも焼酎があります。
── 「鶏・焼酎 るこっく」 も九州をイメージしてますか?
出発点ではありますが、九州色を無くしていっています。
焼酎がコンセプトですが、焼酎を必ず飲む必要はないですし、日本酒やワイン、ビールやハイボールを飲むお客様もいらっしゃいます。
逆に言えば、日本酒やビールなどを飲んでるお客様に、どうやったら焼酎を飲んでもらえるかなって考えていて、 高炭酸水で割った「シュワッ酎」や、果物を使った「カクテル酎」などを提案させていただています。

特にカクテル酎は、 焼酎が苦手な方にオススメしたいメニューです。
元々は、焼酎が苦手なスタッフが飲めるように考案したもので、果物割りみたいなイメージにしており、飲みやすくなっています。
色々と試して、そのスタッフが美味しいと言ったら、メニューとして採用していました。そのスタッフは卒業しましたが、焼酎が好きになって今でもたまに飲みに来てくれます。

他にも、お湯割りや水割り、ロックなど様々な飲み方があって、焼酎の良さや可能性は、まだまだあると思っています。
現在、300種類ぐらい焼酎があるので、色々と飲んで欲しいですね。
── 焼酎の飲み放題もありますよね
飲み放題のお客様には、いっぱい飲んで楽しくやってほしいしなって思っています。水割りやお湯割り、ソーダ割りなど、セルフサービスで好きなように飲んでいただけます。

様々な種類を飲みたいお客様には、単品でのオーダーをオススメしています。色々な個性がある焼酎をご提案させていただきます。
ご都合やご気分に合わせて、飲み放題や単品を選んでいただき、都合の良いように利用してもらいですね。
9割のお客様が 「炊き餃子」と「鶏刺し」を注文
── なぜ、鶏に特化したのですか?
最初は、焼酎に合うもので考えていて、鶏と馬で迷っていていました。
より焼酎に合う料理と考えたときに、同じ鹿児島や宮崎の名産である鶏の刺身や甘い醤油だと思ったので、鶏料理にしました。
今は、9割が鶏料理で、1割が焼酎に合うさつま揚げなどを提供させていただいています。
── 鶏料理で参考にしたお店などはありますか?
鶏料理に関しては、東京の「庭つ鶏」さんの影響をすごく受けています。
研修で訪店させていただいた際に、焼き鳥ではない鶏料理のお店をやってみたいと思ったのが、鶏料理を選んだきっかけの一つでもあります。
札幌には、焼き鳥のお店はあっても、こうゆう鶏料理のお店は無いので、もっと発信していきたいと思っています。

── 鶏料理に対するこだわりを教えてください
基本的に丸鶏からお店で捌いています。
鶏を内臓から全て捌くには、食鳥処理衛生管理者という免許が必要なので、「鶏・焼酎 るこっく」では、内臓を抜いた丸鶏を使っています。
お店で捌くのと、捌いたものを仕入れのでは、鮮度や張りが全然違うので、そこはこだわっています。
魚を例にするとわかりやすくて、市場で活け締めにした魚と、スーパーで売ってる切り身ぐらいの差がありますね。
銘柄は、全国の色々なところから仕入れをしていて、それぞれの料理に合うように使い分けています。例えば、刺身は地鶏で、他のメニューには、銘柄鶏やブロイヤーも使っています。
── オススメのメニューを教えてください
9割のお客様にご注文いただくのが、「炊き餃子」と「鶏刺し」です。どちらかと言うと、「炊き餃子」をメインとして、オススメしています。
── 「炊き餃子」はどのような料理ですか?
「炊き餃子」は、地鶏のスープと地鶏の餃子を一緒に食べる料理です。
特にスープはとてもこだわっていて 、 白湯スープと清湯スープの2種類をブレンドして完成させます。
白湯スープは、骨を砕いてから圧力鍋で3時間ぐらい炊いて、清湯スープは、弱火でコトコト4時間半ぐらい炊きます。 これを毎日やっているので、ラーメン屋さんぐらいスープをとっていますね(笑)
このスープは、「鶏・焼酎 るこっく」の基本の味です。お通しでも、このスープをちょっと優しくしたものを提供させていただいてるので、ぜひ、お召し上がりください。

── なぜ「鶏刺し」は生で食べれるのですか?
お客様から「鶏は生で食べられるの?」って聞かれることがあります。
叩いたり、湯引きをしているので、完全に生では無いのですが、鶏は刺身で食べることができます。
この辺は、九州と北海道の文化の差があるなと感じています。
生で食べるには、鮮度が重要と思われることが多いんですが、どちらかと言うと、菌がいない環境で鶏を育てることが重要です。小さい個体なので、菌の感染に弱いんですよね。
これは実際に、鹿児島の養鶏場へ見学に行って、教えてもらいました。

── 鶏料理を極めていますね
鶏料理は、まだまだ可能性があって、辿り着いていないと思っていますよ。
食材の鶏に関しても、北海道産でやりたいって気持ちがありますし、 道内や札幌にも、養鶏場さん地鶏があるので、どんどん開拓していきたいですね。
手間を惜しまず良いものを追求する
── 店舗を運営するにあたり、大切にしている部分はなんですか?
自分だけが良くてもダメで、お客様はもちろん、スタッフや取引先の業者さんまで、みんなが良いっていうのが理想です。
お客様が「美味しいけど高いよね」と感じたらダメだし、お客様だけが良くて、自分たちが我慢をしている状態も良くない。
例えば、スタッフが働き方に不満をもっていたり、ストレスがある状態であったり、業者さんが無理してる状態はダメだと思っています。
お客様はもちろん、お店に関わる全員が上手くいくような関係が、自分の店舗運営で大切にしている部分です。
── お店の強みはなんですか?
料理も飲み物も、手間を惜しまず時間をかけている点です。
例えば、焼酎の勉強であったり、鶏をお店で捌くことや、休日に農家さんを尋ねてお話を聞いてきたり、そういった手間を惜しまずに、良いものを追求する努力を大切にしています。
あとは、外食ならではの、驚きや感動を大切にしています。
焼酎の種類や飲み方のご提案、手間隙を惜しまないでとったスープ、鶏刺しを炭火で炙って風味をつけるなど、家庭ではなかなか難しいことをご提案し、喜んでもらえることを大切にしています。
── 隠れ家的な外観と活気がある店内のギャップが印象的です
今はそう言ってもらうことが多いですけど、オープン当初はそんなことがなくて、四苦八苦しながらやらせていただいていました。
お客様が全然来ないって日もありましたね(笑)
オープンから勤めてくれたアルバイトの子が卒業するときに、「すごい良いスープがとれた日に限って、お客様が全然来なかった(笑)ことが、良くも悪くも思い出ですね」って言ったことが、今でも印象的です。

── 良いサービスを提供するために工夫していることはありますか?
サービスというよりは、当たり前のことや普段の延長線上を大切にしています。
飲食は、お客様の反応がダイレクトに返ってきます。「ありがとう」や「美味しかった」って言葉や、良い顔で帰っていただくとご満足いただけたのかなって思うので、そこをすごく大事にしています。
お酒を飲む機会が減ってきている中で、焼酎と鶏料理を食べに来てもらって、ありがたいなという気持ちがありますし、楽しく飲んでもらえれば良いかなとも思っています。
みんなが喜んだり楽しくしているのが嬉しい
── 最も苦労したことはなんですか?
札幌に来て鶏料理にたどり着くまでと、メニューの考案には苦労しました。スープをとった経験も無かったので、試行錯誤してやりました。
その時に、毎日毎日マネージャーと色々なメニューを開発した経験が、今に活きています。
── 最も辛かったことはなんですか?
厳しかった浦安の修行時代を乗り越えてきたので、大体のことは辛いと思わないです。今でも夢に出てくるぐらいなんで(笑)

── 最も楽しかったことはなんですか?
今が楽しいです。
これだけのお客様に「鶏・焼酎 るこっく」を認知してもらって、スタッフも楽しそうで「忙しかったけど、今日も良かったね」って1日を共有して終われるのも良くて。
自分だけじゃないってところが嬉しいですよね。

あとは、自分たちがやりたいって思うことができるようになってきたのが嬉しいですね。
スタッフみんなで奄美大島に研修に行ったり、ライジングサンに行ってリフレッシュしたり、みんなが良いと思うことができるのが嬉しいです。
休みに関しては、お客様には申し訳ないと思っていますが・・
── 今の仕事を続けるモチベーションはなんですか?
みんなが楽しそうってのが、自分はいちばん嬉しくて、モチベーションですね。お客様が喜んでくれている姿や、スタッフが楽しく接客している姿を見るのが楽しいです。
自分は、目立ちたがり屋の性格ではないんで、美味しい料理や場所の基盤を作って、下で支える役割が合っているのかなと思っています。
金曜・土曜の23時以降は「夜こっく」で一人飲みがオススメ
金曜と土曜は、「鶏・焼酎 るこっく」の営業後に、焼酎BAR「夜こっく」を営業されています。
ここからは、「夜こっく」をメインでやられている行祥(こうしょう)さんと、引き続きオーナーの大広さんを交えて、一人飲みについて聞いてきました。

── 「夜こっく」と「鶏・焼酎 るこっく」はどのような違いがありますか?

── 「夜こっく」を始めた理由を教えてください。

お店の広さやカウンターなど、営業するのにイメージがつきやすかったので、このお店でやりたいなって思って。大広さんに相談したところ、「やってみたら」とお話しをいただいて、現在に至ります。

── 「夜こっく」と「鶏・焼酎 るこっく」では、雰囲気が変わりますか?


── どのようなお客様が多いですか?

23時~24時30分ぐらいまでは、団体のお客様がご来店される事もあるんですが、深夜1時を越えると、団体のお客様はほとんどいないですね。
年齢層は幅広くて、20代から60代のお客様にご来店いただいています。

── 「夜こっく」をどのような利用して欲しいですか?


── 時間帯で意識している部分はありますか?


── 早い時間帯が混んでいますか?


── 朝の4時に満席はすごいですね

── 一人飲みのお客さんに何を提供できると思いますか?

お客様と話して、「美味しかったですよ」とか「また来ます」って言われると嬉しいですね。
「夜こっく」にご来店いただいて、「鶏・焼酎 るこっく」を知っていただくこともありますし、実際に「鶏・焼酎 るこっく」にご来店いただくこともあります。

今後のチャレンジや目標
── 開店から今までを振り返ってみて、どのように感じますか?

── 今後の目標やチャレンジしたいことを教えてください。


自分の目標は、お店を持ちたいなと思っています。大広さんは、飲食の後輩を助けてくれる存在で、応援をしてくれるので嬉しいです。
── お店を一言でどのように表現しますか?

一人で飲みに来ようとしている人へメッセージ
── 最後に一人で飲みに来ようとしている人へ向けて、一言メッセージをお願いします。

僕も一人飲みをして仲間ができたりしてるので、もっと皆さんも一人飲みに行ったらいいのになって思っています。3日連続行くと必然的に顔を覚えてもらえて常連になると、誰かが言ってました(笑)
どこのお店でも気軽に行ける環境であれば良いなとも思っていて、そうなると一人飲みの需要が増えて、外出する人が増えるんじゃないかなと思っています。

お客様同士が、「金曜日に夜こっくで会おう」ってなってたりするので、すごいなと思っています。「夜こっく」はそういう場にしていただければなと思っています。
一人飲みは、気軽さが大事だなと思っていますので、お気軽のご来店ください。もちろん、「鶏・焼酎 るこっく」もカウンターがあるので、ちょっとバタバタしている時もありますが、お待ちしています。

「鶏・焼酎 るこっく 」「 夜こっく 」
住所 | 札幌市中央区南4条西1丁目4番地 |
電話番号 | 011-272-0444 |
営業時間 | 鶏・焼酎 るこっく 18時~24時 夜こっく 金曜・土曜 23時過ぎ~3時 |
定休日 | 水曜 |