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現役お坊さんのバルは一人飲み大歓迎のコミュニティだった【釋迦ばる】

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釋迦ばる

M's仲町の2階で、現役のお坊さんが接客するお店「釋迦ばる」オーナーのイチローさんに、お坊さんと飲食のダブルワーク、一人飲みやお店のコミュニティについて聞いてきました。

お坊さんになったきっかけ

── 簡単な経歴を教えてください

僕は埼玉県の出身で、カーオーディオのショップや力仕事の職人をやっていました。21歳で北海道に来て、お坊さんになり、飲食を始めました。

今でも、車やバイクのカスタムが趣味で、特技は小学校3年生で始めたサッカーですね。

── お坊さんになったきっかけは何ですか?

18歳の時に、意識不明の状態で、集中治療室に3ヶ月間の入院をした経験があって…。スクーターでパチンコへ行く途中に、大型車と衝突しちゃったんですよね(笑)

今でも、頭蓋骨の1/3はセラミックの人口骨です。

奇跡的に回復して退院した時に、せっかく拾った命だから「良い生き方」をしたいっていう想いと、同じように交通事故で亡くなった人に、「胸を張れるような生き方」をしようという想いを抱きました。

── 壮絶ですね…

「良い生き方や胸を張れるような生き方ってなんだろう」と自問していた時に、奥さんの実家がお寺というご縁があって、住職の義父に「弟子にしてください!」ってお願いして、お坊さんになりました。

今でも、9時~16時はお坊さんとして、お葬式や法事、月参りなどのお勤めをしています。

イチローさんのお坊さん
左手前がイチローさん

お坊さんと飲食店の両立

── 昼間にお坊さんをやって、夜は飲食店をやるのは大変じゃないですか?

アルコールが残ってる時は匂いが気になりますね(笑)マスクを着用しますけど。

お坊さんの仕事は、午前中がメインで、午後は空き時間ができる事が多いので仮眠してます。

── 終日の休みはあるんですか?

終日の休みはないですね…。前回休んだのが、14ヶ月前です(笑)

── なかなかハードですね

なんとかやってます。若いうちじゃないとできないですよね。

お坊さんとしても芸達者になりたいと思っていて、ありがたいことに、色々な所からご指名をいただけるようになったのは嬉しいですよ。

飲食店を志した理由

── なぜ飲食店をやろうと思ったのですか?

僕は、北海道に魅了されているので、埼玉に帰る気はサラサラないんです。

北海道に住み続けるために、お坊さん以外の生業を持っていないと怖いなと思って、飲食を始めました。お寺は人間関係があまり良好ではなく、首の皮一枚で繋がっている状態なので(笑)

── 飲食業界を選んだ理由はなんですか?

飲食を選んだ理由は、人と接することが好きで「自分が行きたいバー」を作れたら楽しいだろうなと思ってました。

僕がお客さんの立場だと、面白いスタッフさんがいるお店に足が向きます。自分では明るい方だなとという自覚はあったので、やってみたいと後押しになりました。

物件を探してる中で、このお店の前のオーナーから「店やりたいんだって、買うか?」って言われて買いました。小さいお店なんで、失敗しても大火傷はしないだろうって(笑)

── 家族や友達はどんな反応でしたか?

あまり相談せずに始めちゃいましたね。今もお寺の人は、僕が飲食店やってるのを知らないんですよ(笑)

イチローさん

「釋迦ばる 」 の由来と強み

── 店名の由来は?

お坊さんからですね。

最初は、オシャレな横文字の店名にしようと思ってたんですけど、ビルのオーナーさんが寺とか仏像が好きらしくて、契約の時にお寺の名刺を渡したら、最初の1ヵ月分の家賃を免除してくれたんですよね。

その時に「頑張れよ、坊主バー」って言われちゃって。引くに引けなくなって和風に寄っていきました。

さすがに「坊主バー」って名前はちょっとな…って思ったんで、「釋迦ばる」にしました。

釋迦ばる入り口
「釋迦ばる」提灯が目印

── なかなかインパクトありますよね

皆さんにそう言っていただけますね。

和風の店名になってしまったんで、それに合わせて内装も和風でまとめていて、畳や帯、ちょうちんや幕などがあるので、余計にインパクトがあるのかなと思います。

幕は、手作りなんですよ。仏具屋さんに頼んだら、10万円じゃきかないんで。よく見たら家紋をマジックで塗っているのがわかります(笑)ボンボンもカーテンのタッセルで作ってます。

釈迦バル店内

── 異業種の仕事は苦労されたんじゃないですか?

最初は苦労しましたが、亡くなった父の言葉で「超一流になるには才能が必要だけど、一流は努力でなれる」というのが、僕に中で支えになっています。

努力をすれば一流になれるし、「結果が出せない時は努力の仕方を変えれば良い」という意味だと捉えていて、お寺の世界や飲食業界に入って頑張れたのも、この言葉の存在が大きいですね。

── 人知れず努力されてるんですね

最近では、パーフェクトクラシックのライセンスが貰えました!僕はビールが好きで、以前からこだわりがあったので、すごい嬉しいです。

パーフェクトクラシック

ビールは、「コールド」「クリア」「クリーミー」の「3C」が大切で、コールドとクリアは、サーバーやグラスの準備で実現できるんですが、クリーミーは、生ビールの状態を見極めながら作るので、注ぐ際の技術力が必要になるんです。

グラスに注いだ後に、余分な粗い目の泡をすくってから、もう一度泡を注ぎます。

これによって、泡にクリーミーさが生まれ、生ビールの旨みを封じ込めることができます。

── ビールに力を入れてるんですね

あとは、缶のクラフトビールにも力を入れていこうかなと思ってます。

缶ビールは、鉄臭いとかイメージがよくない部分があるんですが、最近は、保存技術が上がっていて美味しいんですよね。

缶ビールも注ぐところが腕の見せ所だと思っています。

クラフトビール

「3度注ぎ」とかよく言うんですが、なんでも3回注げば良い訳じゃなくて、コクがあるビールは、泡を立てた方が良いし、すっきり飲むビールは泡立てないほうが良いんですよね。

最近は、抹茶ビールも始めました。茶道の経験があるので、お茶の道具で抹茶を点てて作ってます。店内の装飾や雰囲気にマッチしてるんで、好評です。

── ビール以外にもオススメはありますか?

日本酒にも力を入れてますし、ワインは、フードのオーダーをしてくれたら半額になる割引をやってます。

扱ってないお酒はテキーラぐらいで、お客さんが飲みたいお酒を飲める環境を整えています。

── 料理のメニューは考案したんですか?

料理は、アクアパッツァやオムレツ、自家製の燻製やおでんなど、試行錯誤を重ねて考案したものを提供しています。

例えば、限定のアクアパッツァは、基本はチルドですが、あさりは冷凍をしたものを使うことによって、グルタミン酸とイノシン酸が増して、旨みが濃くなっています。

アクアパッツァ
アクアパッツァ

オムレツを「巻いてお皿の上で転がす」ことが目標だった時期があったんです。

数をこなさないと上達しないと思って、オムレツを300円ぐらいで提供しました。安いので、みんながオーダーしてくれて、必然的に作る回数が増えて上達しました。

今では、「ベーコンチーズきのこオムレツ」「納豆オムレツ」「普通のオムレツ」「和風のオムレツ」があります。

一人飲みコミュニティがある

── どのようなシーンで利用するお客さんが多いですか?

一人飲みで利用する方が圧倒的に多いですね、8割~9割ぐらいはお一人様です。隠れ家的に利用したがるお客さんが多いので、他の人を連れてきたりしないんですよね。

時間帯は、仕事終わりの一軒目で来られる方もいますし、深夜に来る方もいます。

早い時間に来る人は、そんなに食事はしないで空腹にお酒を持ってきたい方が多くて、深夜に来る人は、帰り道に「提灯ついてるから寄ってっちゃおう」みたいな方もいますね。豊水すすきの入り口も近いので、終電までに一杯飲もうって方もいます。

あと、旅行で来てるお客さんも意外と多いですよ。

ビールと日本酒を売りにしてるんで、外国の方が来てくれたり、国内だと大阪からの旅行の方が多いですね。この階段を上ってくる度胸があるのかなって感じます。

釋迦ばる階段
左手の階段を登って2階奥が「釈迦バル」

── 一人飲みで色々な方が利用されてるんですね

お客さんの層は、30歳前後が圧倒的に多くて、男女比が6対4ぐらいです。

「あの店に行けば誰か居る」っていうコンセプトを打ち出してるで、釋迦ばるに行ったら「誰かいるんじゃないかな」って思って来てくれる常連さんが多いと思います。

「あそこに行ったら誰かいるだろう」っていうコミュニティの中に、僕がいる感じですかね。

釋迦ばる店内

── お客さん同士の仲が良いんですね

お客さん同士の仲の良さや交流の部分が、釈迦バルの良いとこだなって思ってます。

初めてお一人できたお客さんは、コミュニティがあると居辛いと思うので、僕が最低何回は声をかけて話すって決めています。小さい店なので、一言も喋らないで放置するなんてことはまず無いです。

釋迦ばる店内

お店の前の通りは薄暗く、建物の階段も雰囲気が上りづらいので、お店にも入りづらいと思んです。

そんな中、来てくれたお客さんには、「よくお店にきてくれましたね!」っていう勢いで声をかけるようにしてます。決して冷たくしないので安心してください(笑)

常連さんも、話に共通点があったら乗ってくれると思うし、みんなで一緒に賑やかなお話しをしながら、楽しく飲食をできるお店を目指してます。

ただ、カップルでお食事をしに来るお客さんとかは、さすがにお二人で話したいことがあると思うんで、積極的にお声かけはしないです。

── 初めての方も行きやすいですね

お客さん同士が交流できるイベントもやってて、たこ焼きや餃子パーティー、忘年会やクリスマスパーティー、誕生日会、花見やビアガーデン、沖縄旅行まで行きます。

たこ焼きや餃子パーティーは良くやるんですが、色んな具を入れてやってます。大葉やクリームチーズ、エビマヨだったりとかバリエーションがあって楽しいですよ。

店舗運営と今後の展望

── お店を運営して一番嬉しいことはなんですか?

イベントに沢山の常連さんが集まってくれた時が、お店をやってて良かったなってすごい思います。達成感というか、お客さん同士が一つになってくれてるなっていう気がして、嬉しいですね。

特に誕生日は、特定の常連さんのために他の常連さんがお祝いしに来るっていうのが、一体感あって嬉しいです。

過去に撮った写真とムービーを編集して、短焦点プロジェクターで白い壁に流しながら、ケーキやプレゼントを渡したりして、盛り上がります。

── お坊さんとして相談することはできるんですか?

出来る範囲であれば、承ってますよ。過去にも何名かいらしたことがあります。

悩みを聞いて真面目に受け答えして、アドバイスしています。「相談してよかった、ありがとう」って言われと嬉しいですね。

お坊さんとして、カウンターに立ってる部分もあるのかなって思ってます。

布教の場として「坊主バー」とかをやってる方もいるんですけど、僕は、お坊さんと接する場所の敷居を下げてやってるイメージです。

イチローさん

お坊さんに相談することって、人生感に纏わることが多いんで、ちょっと暗いことが多いんです。お酒を飲んで相談しているうちに、明るくなってれるので、僕も一緒に上向きになれて、嬉しいですね。

── ご立派ですね

そんなことないですよ(笑)(若林)

お坊さんである僕の持論で「生きてる人間はみんなクソ野郎」ていうのがあって、1から10まで自分の人生を語って、聖人君子のような清らかで一点の曇りも無い人間はいないと思ってます。

僕も含めて、人様に上から物言えるような人間ではないし、みなさんも人様のおかげで暮らしてます。これを「愚者の自覚」って呼んでいて、平たく言えば、俺たちクソ野郎っていうことですね(笑)

── 今の仕事を続けるモチベーションは何ですか?

お客さんを楽しますのはもちろん、自分も楽しむって部分ですね。自分が楽しければ、お客さんも楽しんでくれるだろうっていう。

来てくれるお客様に対しての恩返しというか、僕なりのサービスをしたいっていうのもあります。お客さんの好みや聞いた話、誕生日なんかも日報に書き留めて、サービス向上に努めています。

── 日報をつけてるんですね

毎日つけてますよ。

お客さんに楽しんでもらう為に、何のメニューが評判良いとか、このイベントは盛り上がったとか、今後の改善に繋がるようにしています。

例えば、三次会や四次会で来店する人が多いんであれば 、お茶漬けや出汁のおすましを提供したら喜ばれるかなって考えています。

もちろん、経営面でも役立ちますし。

イチローさん

── 2店舗目も出されたんですよね

2018年の11月に「Oeuf de Oeuf(ウッフ デ ウッフ)」をオープンしました。創作チーズ料理と熱々のスキレット料理がメインの小さなバルです。

「Oeuf de Oeuf」は、釈迦バルの出店時に一緒にやる予定だったスタッフがやっています。

当時は、タイミングが合わなくて実現しませんでしが、改めて彼から、「お客さんと近い距離で働きたい」っていう希望があって、一緒にやることになりました。

── 今後の目標を教えてください。

お坊さんと和風を武器にして、海外でお店をやれたらいいなと思ってます。

親日の国が良いので、シンガポールとかですかね。そうなったら剃髪して行きますよ(笑)

一人飲みで来ようとしてる方へのメッセージ

── 最後に、一人飲みで来ようとしてる方へメッセージをお願いします。

うちの常連さんに溶け込めないようなお客さんていないと思います。ことごとく巻き込めると思いますので、一緒になって楽しみましょう。

男女共にお一人様大歓迎の釋迦ばるなので、気負いせずに気軽にご来店ください!

イチローさん
飲み友達作を作るなら「 釋迦ばる 」しかないでしょ !

釋迦ばる

住所 北海道札幌市中央区南4条西1-6-2 M's仲町 2F
電話番号011-231-6762
営業時間17:00~翌2:00
定休日無休
系列店 Oeuf de Oeuf(ウッフ デ ウッフ)

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