狸小路1丁目にあるカウンターだけのイタリアン「L'oro rosso(ロロロッソ) 」オーナーシェフの和田さんに料理やドリンク、お店の空間のこだわりや一人飲みについて聞いてきました。
東京とイタリアのフィレンツェで修行
── 簡単な経歴を教えてください
恵庭出身で、高校を卒業してから全日空ホテルとJRタワーホテル日航札幌で働いて、東京へ行きました。
東京では、イタリアンの個人店で働かせたいただいて、その後に、イタリアに渡って修行を行ないました。
── イタリアはどのぐらいの期間行ってたんですか?
1年に満たないぐらいですね。
トスカーナ州のフィレンツェに行っていました。ちょうどイタリアの真ん中の位置で、昔ながらの建築物があって歴史を感じる街ですね。
日本でいうと京都みたいなイメージで、フィオレンティーナってサッカーチームが有名です。
── イタリア語は喋れるんですか
昔からイタリア人シェフと仕事をしていたので、仕事のイタリア語はできますよ、コミュニケーションが取れるぐらいですね。
ただ、日常の会話はなかなか難しいですね(笑)滞在期間も短かく、料理に集中していたので。
帰国後は、静岡に3年程度いて、その後、札幌に戻ってきて現在のお店をやっています。
── 何で静岡に行ったのですか?
イタリアに渡った際の、同期の友人が地元の静岡でお店を立ち上げるというので、一緒に立ち上げを行いました。自分も行く行くはお店をやりたいと思っていたので、良い経験になるなと思って。
料理の鉄人にあこがれて飲食業界へ
── 飲食業界に入った経緯を教えてください。
当時、料理の鉄人という好きなテレビ番組があって、よく観ていたんですよね。なんとなく料理の世界に憧れがあって、かっこいいなと思っていました。
高校を卒業してから、進路を模索している時に、全日空ホテルのキッチンスタッフに応募をしたら、たまたま受かってこの世界に入りました。
── 当時も料理が得意だったのですか?
学生が作るような炒飯とか蕎麦を茹でるとか、そのぐらいのレベルですね(笑)本格的な料理は全然作ってなかったです。
── 当時、飲食以外に興味があったことはありますか?
野球が好きでやってました。社会人になっても、若いときは朝野球をやってました。観るのも好きで、今でもたまに野球観戦をします。
イタリア現地の料理とワインの組み合わせを楽しいで欲しい
── 店名の由来を教えてください
L'oro rosso(ロロロッソ) のL'oroは、イタリア語でゴールドとか黄金という意味で、rossoは、赤という意味です。
直訳すると黄金と赤ですが、小さい光とか灯火をイメージしています。小さいお店なので、小さく光って長くやり続けたいなって願いを込めています。
L'oroの正しい発音は、オーロなんですが、音の響きやキャッチーで覚えやすいかなと思って、「ロ」を3つ使って、ロロロッソにしています。
店名が覚え出せなくても、「ロ」がいっぱいあるって感じで、覚えれくれれば(笑)
居心地の良い内装
── 内装のイメージやこだわりを教えてください。
居心地の良い空間と北海道らしさをイメージしています。自分が好きなお店があって、そこを作ったデザイナーさんにお願いしました。
照明は、ちょっとぼんやりとした感じで、落ち着く色調にしています。壁は木材で木や森をイメージして、天井は、赤ワインをイメージしてワインレッドにしています。
カウンターのみの店なので、座っていただいたときに落ち着けるように、椅子やカウンターの板を選んでいて、ちょっと軽く一杯のつもりが、2~3時間長居しちゃったっていうくらいの「居心地の良い空間」を目指しています。
カジュアルと高級感を合わせ持つイタリアン
── 提供する料理に対するこだわり
イタリアの郷土料理をメインに、旬の食材を使った料理を提供しています。
イタリア料理は郷土料理が多くて、北から南まで様々な種類があります。その郷土料理を、あまり形を変えずに、そのまま現地で食べられている味で提供しています。
メニューを見て、料理をイメージできるものを中心に、「カジュアル過ぎず高級にもなりすぎない」頃合や、「気軽さだけじゃなくて上質感もある」絶妙なバランスを主張できたら良いなと思っています。
── オススメのメニューはありますか?
「リコッタチーズとホーレン草のふわふわニョッキトリュフソース」は、初めて来ていただいたお客様にオススメを聞かれたら提案しています。
ニョッキは芋を使うのが一般的なんですが、L'oro rosso(ロロロッソ)では、芋を使ってないのが特徴です。
一般的なものと見た目は全然変わらないですが、食感が全然違っていて、「モチモチ」っていうよりは、「フワっと」していて、一般的なニョッキとの食感の違いを楽しんでもらいたいと思ってます。
トリュフは、お店でも気軽に使ってるとこは少ない食材なので、お手軽に食べてもらいたいなっていう想いもあります。
「牛トリッパと豆の煮込み」もオススメで、トリッパはホルモンの煮込みのようなイメージですね。
この2つは、イタリアのトスカーナの郷土料理で、実際に現地で勉強した料理です。
他のメニューは、季節に合わせて日替わりで「どうゆうものが食べたいとかな」っていう、自分なりの解釈を入れながら、 外食でしか食べれないものを意識して メニューの構成を決めています。
例えば、今はタコが美味しい時期なので、シンプルにタコのグリルとか、自分なりのエッセンスをちょっと入れて、ケールに塩麹を入れたサラダなどを提案しています。
「サラダに塩麹を入れたら美味しいんだね」とか、新しい着想を感じてもらえたら良いかなって思っています。
あとは、イタリアのワインとの組み合わせを考えて、料理とワインを組み合わせることで「すごい美味しい」って思ってただければ良いかなと思ってます。
── 提供するドリンクに対するこだわりを教えてください。
ワインはイタリア産だけを取り扱っています。
イタリアだけでも、ぶどうの種類が豊富にあって、ワインの生産者も多いので、それぞれの個性があります。様々なイタリアワインの美味しさを感じてもらいたいですね。
グラスワインの提供をオススメしていて、白、赤、ロゼやスパークリングなど、常時6~7種類ぐらいをご用意していて、料理に合わせたご提案もさせていただいています。
ワインや料理だけでも良いのですが、ワインと料理を一緒に召し上がってもらうことによって、より美味しいと感じてもらえるのかなと思っています。
イタリアの食卓は、当たり前にワインがあって、水のような感覚で飲んでいるので、イタリア料理にワインを合わせて味わっていただきたいですね。
自家製のリモンチェッロもオススメです。爽やかに飲めるので、アルコール度数の高いドリンクが苦手な方にもオススメですね。あとは、イタリアビールも取り扱っています。
居心地の良さと落ち着く空間
── 店舗運営で大切にしている部分はなんですか?
ご来店いただいたお客様に、心地よく帰っていただきたいと思っています。
料理やお酒のどちらかだけが美味しくてもダメで、心地よい人同士が繋がって、全てが良い感じで調和するような空間を目指しています。
── お店の強みはなんですか?
高級レストランの料理を、ちょっとカジュアルに落とし込んで、お酒も一緒に楽しめるようなお店と認識してもらえると嬉しいですね。
── 良いサービスを提供するために工夫している点はなんですか?
メニューを積極的に切り替えて、 1週間に2回来ても、変わったなって感じてもらえるようにしています。旬のものを取り入れたり、グラスワインの種類を変更したり、お客様が飽きないように意識しています。
接客では、居心地の良さと落ち着く空間を意識しています。
色々なシーンがあるので、自分からガツガツ行くんじゃなくて、そっと手を差し伸べるぐらいのイメージで、聞き役や受身に徹しています。
例えば、食事をメインに楽しみたいお客様や、お酒をメインで楽しみたいお客様、飲食っていうよりは、自分と話しをして、良い時間を過ごしたいんだなってお客様など、様々なその時々の想いがあるので、そこに寄り添えるように考えています。
── イベントはやられてますか?
周年では、皆さんがご来店いただいて、お客様発信でイベントのようになっています。お花やケーキをもらったり、すごくお客様に恵まれていると思います。嬉しいですね。
周年の以外では、不定期でワイン会をやっています。
テーマを絞って、例えば、トスカーナワインとトスカーナ料理を楽しむ会は、イタリア現地の料理を再現して、そこで飲まれるワインと一緒に食べましょうっと内容です。
大人の女性が気軽に一人で飲めるお店
── お客様の層を教えてください
女性が多くて、7対3~6対4ぐらいの割合ですね。年齢は、30代から40~50代のお客様が多い印象です。
20代のお客様もご来店いただきたくて、落ち着いた空間やデート、もちろん一人飲みも歓迎しています。
── 女性が多いですね
大人の女性が気軽に一人で飲める空間と、カジュアルと高級の間で、カウンターのみのイタリアンは、あまり無いからかなと思っています。
あとは、清潔感をすごい意識し、いらない部分は極力見せないようにして、お皿やワイングラスなど、細かい部分にも気を使っています。
例えば、「この可愛いお皿はどこのメーカー?」と聞かれたり、ちょっと大き目のワイングラスを使えば、すぐに気付いていただけたり、そういった部分も支持されてるのかなって感じています。
もちろん、男性の方も一人でよくご来店いただいています。
── どのようなお客様に利用して欲しいですか?
時間帯で色々な対応できるスタイルの店でありたいと思っています。
早い時間に食事メインで来られるお客様や、ご飯を食べてきたけど、ちょっと物足りないかチーズ盛とワインで飲みに来たよっていうお客様、深い時間になってくると、最後に一杯ワイン飲んで帰るっていうお客様とか、使い勝手が良いお店にしたいですね。
── 何人でご来店されるお客様が多いですか?
2名のお客様が多いですね、それ以上の団体のお客様はあまりいないです。
最近は、お1人様でのご来店も増えてきて、特に平日は一人飲みのお客様が多いです。
── 何時ぐらいが混んでいますか?
結構まばらですが、20時~21時ぐらいですね。
早い時間に食事されたお客様が3~4時間居ていただいて、20時ぐらいに仕事帰りのお客様がご来店されて、21時には席が埋まってることが多いですね。
── カウンター同士お客さんが仲良くなる事ってありますか?
ワイン好きなお客様が来るので、共通の話題が合うのと、同じ店に来るお客様って、テンションとか似てたりするのもあると思います。
それぞれ一人で来てたワイン好きのお客様が、仲良くなって、そこから一緒に来るようになって、お付き合いを経て、ご結婚をされたこともあります。
出張で遠方からご来店いただけるお客様も多くて、紹介や調べて来てくれるんですよね。
一つの空間で色々な出会いもあるので、そういうのも楽しんでもらえたらなと思います。
── 一人飲みのお客さんに、何を提供できると思いますか?
一皿の料理の量を多くしてないので、一人飲みで来ても、数種類の料理を楽しんでもらえるようにしています。
例えば、前菜盛り合わせなど、ご要望があれば、出来る範囲で色々対応しています。
嬉しい言葉がモチベーション
── 今までも最も苦労したことはなんですか?
オープン当初は、お客様がなかなか来ていただけなかったとこですね。
静岡から戻ってきてすぐに店を出したんで、札幌のお客様との関係が全く無い状態だったので、最初は苦労しました。
ものづくりの基本に戻って、良いものと良いサービスを提供するっていう原点に戻って、信じてやってました。
今までは、厨房に篭って料理を作っていたので、実は、カウンターでの接客も初めての経験でした。
どこまで会話で踏み込んだらいいんだろうっていう部分がわからなかったり、料理をやりながら、接客するのに慣れていなくて、大変だなって思っていました。
今でもお客様に助けられてる部分があって、料理や作業終わるタイミングまで待って、お声をかけていただいたりして感謝しています。
── いちばん嬉しかったことを教えてください。
お客様の反応が直接あるので、「今日すごい楽しかったよ」とか「本当に美味しかったわ」っていう言葉は、本当に嬉しいですね。
そういう言葉をいただけると、自分の仕事が終わって椅子についた時に 「今日1日達成感があったなぁ」って思います。
── 今の仕事を続けるモチベーションはなんですか?
お客様から頂いてますね。
お客様からの嬉しい言葉や反応を頂けると、お店をやって良かったなと思います。それを毎日繋げていってる感じです。
あと、自分が知らないお客様と出会えることがモチベーションやエネルギーを頂いてる感じがして色々と頑張れます。
今後のチャレンジや目標
── 今後の目標やチャレンジしたいこと、または展望を教えてください。
色々チャレンジしたいなって想いと、しっかり長く続けれるようにって想いがあります。
ランチをやったり、スタッフを増やしたり、色々なお客様にご来店いただけるようにしたいなとは考えています。
── お店を一言で表すなら、どのように表現しますか?
「L'oro rosso(ロロロッソ) =和田」ですね。
「和田に会いに行こうか」って思ってもらいたいですし、そう思ってもらえるような店にしていきたいです。
一人で飲みに来ようとしている人へメッセージ
── 最後に一人で飲みに来ようとしている人へ向けて、一言メッセージをお願いします。
杯飲みたいとか、一皿食べたいとか、ちょっと時間つぶしとか、一人飲みの時間に寄り添える店になりたいと思っているので、お気軽に来てください。
L'oro rosso(ロロロッソ)
住所 | 北海道札幌市中央区南2条西1丁目 広和ビルNo21 2F |
電話番号 | 011-231-2901 |
営業時間 | 18時~翌1時 |
定休日 | 水曜 |