狸小路1丁目のL字街のイタリアン 「IOMARE(イオマーレ)」 のオーナー羽根さんに、料理を始めたきっかけ、100人規模の花見、お客さんや飲食への想いについて聞いてきました。
飲食業界へ入った経緯
── 簡単な経歴を教えてください
岩見沢市北村の出身で、野球で有名な駒大岩見沢高校から、ホテル観光学科の専門学校へ進学するために札幌へきました。
── 駒大岩見沢高校で野球をやられてたんですか?
サッカー部ですね。みなさんに「野球じゃないのか…」ってがっかりされます(笑)
── ホテル観光学科の専門学校を選んだ理由を教えてください
色々な人たちに出会える仕事が良いなと思って選びました。宿泊と飲食を選べるんですが、どちらも実習で経験して、飲食を選びました。
実家が農家なので、「食」に関わる仕事が良いなと思ったのが理由です。
── 専門学校卒業後はどのような仕事をされてましたか?
最初に就職したのが、パークホテルの「なだ万」で、ホールスタッフとして働いていました。
「なだ万」 を辞めてから、複数の店舗で飲食のマネージャーや飲店長を経験させていただきました。
食品を運ぶトラックの運転手をやってたこともあります。
── なぜトラックの運転手をやったのですか?
実家が農家なんで、食品の流通に興味があってやりました。
農家が野菜を作って、流通の人たちが運び、お店に卸して、誰かが食べるっていう流れの一部分として経験したかったからです。
仕事は面白かったんですが、朝3時に出勤して23時に終わるっていうスケジュールだったんで、居眠り運転で事故を起こしちゃったんですよね。
仕事量を減らす方向になったんですが、新しい人が入ってきてもすぐ辞めちゃんで、なかなか仕事が減らなくて…。
このままだと死ぬなと思って、1年ちょっとで辞めました(笑)

料理を始めるきっかけと恩人
── いつから料理をやり始めたんですか?
本格的に料理を始めたのは、30歳の時です。
20代前半からお店を持ちたいなって思っていたんですが、店舗を運営するポジションで考えていて、料理をやるとは考えていませんでした。
色々なお店を経験する中で、お客さんとフランクにコミュニケーションを取れて、肩肘張らない料理やお酒を楽しんでもらうお店が良いなって思うようになりました。
そういうお店だと、料理も自分で出来た方がいいんじゃないかと思ったのがきっかけです。
── イタリアンを選んだ理由を教えてください
フレンチや和食は、接待で使ったり食事を楽しむところが多くて、フランクな感じだとイタリアンが良いなと思いました。
その時に、飲食の知り合いの方から、イタリアンの有名店「osteria EST EST EST(オステリア エスト エスト エスト)」が、スタッフを欲しがってるって教えてもらって、お店に直接行って「働かせて欲しい 」と頼みました。
その時のお店のオーナーが「料理をやりたいんだったら、こんな良い機会は無いから、今から行って来い」と言ってくれて、後押しをしてくれました。
2人体制のお店だったので、僕が抜けると大変なのに、 応援してくれて感謝しています。
営業終了後に行ったので、ちょっとアルコールが入ってる状態で、募集もしてないのに突然来るし、未経験でキッチン希望だし、すごい印象に残ってるって、今でも「EST EST EST」の方に言われます(笑)
それでも雇ってくれて、30歳の素人に1から料理を教えてくれた、「EST EST EST」のお二人には非常に感謝しています。
それから4年間働かせていただき、独立して「IOMARE(イオマーレ)」をオープンしました。

飲食の知り合いの方、後押ししてくれたオーナー、「EST EST EST」のお二人、この4人は恩人で、この方々がいなければ、今の自分はないので、本当に人に恵まれてるなと思います。
店名の由来
── 店名の由来を教えてください
アイヌ語で「お酒を酌み交わす」って意味のイオマレって言葉があります。イオマレを伸ばしたらイタリア語っぽくなるなと思って、「IOMARE(イオマーレ)」にしました。
みんなでワイワイ楽しくお酒を飲もうよって想いを込めています。
── お店の外観や内装のイメージを教えてください
外観は、サッシを生かして、カッティングシートで店名を書いてシンプルにしいています。
内装は、先輩の大工さんにイメージを伝えて、探り探りで作っていきました。テーブルもオリジナルで作っています。
カウンターやテーブルの高さは、食事をしやすいようにこだわっています。テーブルを先につくっちゃったんで、椅子を探すのは苦労しましたね(笑)

野菜が主役のイタリアン
── 提供する料理に対するこだわりを教えてください
基本は全てイタリアンの調理方法でやっています。和風パスタとかもやらないですし、醤油とかも使いません。
季節ごとの地の物を使えるのが一番良いなと思っいるので、極力、道産の食材を使っています。

── 人気やオススメのメニューを教えてください
人気があるのは、十勝野ポークと野菜のグリルとボロネーゼです。

ボロネーゼは「EST EST EST」で教えてもたったレシピをちょっとだけアレンジしています。
「すごい美味しい」って言っていただくことが多いですね。

オススメは、旬の食材を使ったメニューを別に用意していて、野菜が主役になるものが多いですね。
夏は、おふくろのズッキーニや、近所のおばさんのアスパラ、先輩のかぼちゃなど、地元から野菜が届きます。
おふくろは「とし子 」 って名前なんですが、夏になると常連さんが「とし子の野菜まだ?」って聞いてくれたり、面白がって頼んでくれます。
丸いズッキーニを半分に切って焼いて出すんですけど、想像と違うと言われますね。

「北村産とし子の丸ズッキーニとスカモルツァチーズを焼いたやつ!!」というメニューで出しています。
── 提供するドリンクに対するこだわり
ワインはイタリア産だけを扱っていて、ビオワインは置いてないですね。ワイン以外にも、ビール、焼酎、日本酒、カクテルと幅広くご要望のお答えできるようにしています。
ゆっくりした空間で楽しんでもらう
── 店舗を運営で大切にしている部分はなんですか?
お客さんを第一に考えていて、 一つの空間でお客さんがゆっくりしてくれて、楽しんで帰ってもらう。 それ以外は無いですね。お客さんが喜んでくれるように、環境づくりをしています。
お店は、料理が良いだけでもダメで、接客が良いだけでもダメですし、お客さん同士の距離感も重要です。
店内が狭いので、極度にうるさくしないとか、タバコの煙に対して気遣いとか、ちょっとしたマナーを守ってもらえたら幸いです。
狭いからこそ良い部分もあって、僕らスタッフは常連さんにフランクなので、お客さん同士もフランクな雰囲気で仲良くなったりしますね。

100人が参加する大規模な花見
── 花見の参加人数が多いですよね
100人ぐらい参加してくれていて、1店舗でやってる花見では、かなり人数が多いと思います。
── 100人規模だと準備が大変じゃないですか?
めっちゃ大変ですね(笑)1年間で一番大変です。
花見前日までに100人分の仕込みをして準備します。前日は営業を夜中3時ぐらいに終えて、家でシャワーを浴びてそのまま場所取りに行きます。
花見のあとは、2次会、3次会、4次会と続いていくので、48時間ぐらいは寝ないですね(笑)

── お酒の量もすごそうですね
ビールを140リットルとワイン30本、あとは焼酎、カクテルを用意します。ハイボールとかレモンサワーも大量に出るので、ドリンクカウンターを作ってバーみたいになってます(笑)
── 今後も続ける予定ですか?
大変なんですけど、みんな楽しみにしてるんで、辞めづらくなりましたね(笑)
実は、IOMARE(イオマーレ)を始める以前から、同じ場所で花見を開催しています。
元々は、「EST EST EST」の前に働いていたお店のオーナーが、円山の同じ場所で花見をやっていたのですが、亡くなってしまったので、僕が引き継いで、ずっとやっています。
オーナーの息子さんも、毎年楽しみにして来てくれるので、嬉しいですよね。

最も遅くて9時まで営業
── 周年も盛り上がってますよね
基本は普通の営業で、ドリンクサービスを3日間やっています。
営業時間は24時までなんですが、終わるのが9時ぐらいです(笑)お客さんがいる限りは出来るだけ、営業しています。
── 9時は朝ですね(笑)
週末も3時~4時ぐらいまではやっています。たまに、6時とか7時ぐらいまで(笑)

── 最も遅い閉店時間は何時ですか?
最も遅くて9時ですね。
平日はランチがあるので、9時まで営業した場合は、1時間だけ仮眠してランチ営業を始めます。
たまに定時の12時でお店を閉めると、お客さんが心配して「お店が閉まってるけど、どうしたの?」って連絡がきます。うちは12時までの店なんですけど(笑)
遅い時間でこの場所までお客さんが来てくれるっていうのは、本当にありがたいですね。
── お店の強みはなんですか?
普通な部分です。普通に美味しいくて、普通に仲良く接客するので、来店しやすくて普段使いしやすい部分が強みですね。
あとは、2毛作が出来てる部分が強みかなって思っています。
早い時間は、フリーのお客さんが食事メインで来てくれて、遅い時間は、IOMARE(イオマーレ)をバーだと思ってる(笑)常連のお客さんが来るので、上手く切り替わるんですよね。
── 良いサービスを提供するために工夫している点はなんですか?
眼で見るだけではなく、耳も使うことを意識しています。例えば、カサカサって音が聞こえたら、何か注文したいのかなって思って、様子を伺いますね。

一人飲みのお客さん同士を繋げる
── 一人飲みで来る客層を教えてください
男性と女性の割合は、8対2ぐらいですね。複数人で来る女性が多いので、人数の割合は、6対4ぐらいになります。
一人飲みと団体の割合も6対4ぐらいです。
── 一人飲みはどのようなお客さんが多いですか?
最近は、一人飲みの方が増えていて、特に新規で女性のお客さんが多いですね。女性スタッフがいるので、入りやすいのかなって思います。
女性も男性も、一人飲みが出来るお店を探してる人は結構いるので、一杯でも全然大丈夫なので気軽の来て欲しいですね。
── カウンターはどのような雰囲気ですか?
「家」の感じです(笑)
スタッフは、地方に転勤になって久しぶりにきたお客さんに、「いらっしゃいませ」じゃなくて、「お帰りなさい!」って言うんですよ。そういうのは良いなって思います。
カウンターの接客では、一人飲みのお客さん同士を繋げるようにしています。
お客さん同士が仲良くなって、またIOMARE(イオマーレ)で会った時に、「この間はどうも」ってなるのが、僕の理想ですね。

── 一人飲みのお客さんに対して工夫している点はありますか?
料理のサイズと料金をハーフで出しています。肉料理とかは難しいですが、出来るもの柔軟に対応させたいただきます。
色々な料理を食べたいと思うので、1人飲みには良いかなって思います。
毎日が楽しい
── 今までどんな試行錯誤がありましたか?
ワインの種類を増やしたり、料理の価格のバランスを見直したり、お客さんが何を食べたいのか、飲みたいのかってことを常に考えてやっています。
最初は、一人飲みのお客さんが圧倒的に多くて、お酒をメインに楽しむので、食事というよりは、お酒に合った料理やつまみが多かったですが、今は、団体で来るお客さんの割合も増えたので、食事をメインにやっています。
基本的には、流行り廃りに流されず、ブレずに「うちはうち」っていう感じでやってますね
── 最も辛かったことはなんですか?
あんまりつらかったことはないですね。基本的に仕事がすごい楽しいです。あえて言うなら、9時まで営業してランチするのが一番辛いですね(笑)
店にいるのが当たり前になってて、休みの日もお店に来ないことはないですし、お店の居心地が一番良いです。
── 最も楽しかったことはなんですか?
毎日が楽しいです。
── 最も好きなところはなんですか?
好きなところも、毎日が楽しいところです。
── 手ごたえを感じたことはなんですか?
お客さんが楽しんでくれて、僕らも楽しんでいるところです。
── 気に入ってるところはなんですか?
気に入ってるところも、毎日が楽しいところですね。
── 思い入れのある点はなんですか?
思い入れの点も、毎日が楽しいところですね。楽しいですね、とにかく(笑)
長時間働いているので睡眠時間が少なくて、しんどい部分もありますが、基本は楽しいですね。
休みの日は遊びに行ったりもしてますし、普段でも1時か2時ぐらいに終わった飲みに行っちゃいます。
── タフですね
楽しくないとできないですね。「楽しい」ばかり言ってて、すごい馬鹿な奴みたいですね(笑)

最近はゴルフも始めました。早朝に行ってちょっと寝てからランチ営業をやっています。
休みの日は、早朝にゴルフに行って、昼からフットサルやって、夕方から飲みに行くって感じです。
お客さんのゴルフコンペに参加したり、フットサルで仲間が増えたり、そうゆう繋がりが楽しいですね。
── 今の仕事を続けるモチベーションはなんですか?
「楽しい」ですね(笑)
これしか出来ないってのもありますけど、自分でも向いてるなって思います。楽しいんで(笑)
飲食の楽しみを伝えたい
── 開店から今までを振り返ってみて、どのように感じますか?
早いです、あっという間です。楽しかったですね(笑)
── 今後の目標やチャレンジしたいことを教えてください。
せっかく自分で商売をやっているので、雇用を生み出したいなって思っています。そのためには、スタッフを育てて、店舗を増やすっていうのが目標です。
あとは、飲食をもっと若い人たちに好きになって欲しいです。
昔は、飲食の人たちはカッコよくて憧れだったんですよね。学生がバイトで入って、そのまま就職する人も多かったですし。
今は、飲食のイメージは、労働時間が長くて休みがないし、儲からなくてしんどいってイメージを持っている人が多いと思います。
そういった一面もありますが、楽しさや充実した部分もあります。僕らが楽しんでやることで、そういった部分を伝えて、飲食をやりたいって人が増えると良いなって思います。
そういった魅力を共有出来る人と一緒に働けたら、最高だなって思います。
── お店を一言で表すなら、どのように表現しますか?
「楽しい」ですね(笑)
一人で飲みに来ようとしている人へメッセージ
── 最後に一人で飲みに来ようとしている人へ向けて、一言メッセージをお願いします。
アットホームな雰囲気なんで、思いっきり気軽に来てください。来たら楽しいです!

IOMARE(イオマーレ)
住所 | 北海道札幌市中央区南2条西1丁目5−1 広和ビルNo.21 1階 |
電話番号 | 011-252-7826 |
営業時間 | 【ランチ】 月曜~金曜 11:00~14:30 【ディナー】 月曜 ~木曜 17:00~00:00 金曜・土曜 17:00~03:00 |
定休日 | 日曜定休 *月祝の場合は日曜営業 |